三度のメシより・・・ Sando no Meshi yori...

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2008年 06月 12日

最終日 洋上~”風の影” der letzte Tag - auf See ~ "Der Schatten des Windes"

4月4日


クルーズ最終日。
この日一日地中海を東に進み、翌朝早くサヴォナ港に着く。

船内の図書室で借りたCarlos Ruiz Safón:カルロス・ルイス・サフォンの”La sombra del viento”(邦題”風の影”)、最終日にラストスパートをかけてなんとか文庫本上・下あわせて800頁以上を読み終えた。
全くタイプは違うけれど大作という意味では山崎豊子の”白い巨塔”以来久しぶりに読んだ長編だったのだけれど、感想を書こうとすると戸惑ってしまう。

”ミステリー”と思って読むと、途中の盛り上がりにもかかわらず最後は何となく肩透かしを食らった感じがしないでもない。
主人公の少年ダニエルの一人称語りで話は進むのだけれど、そういう意味では彼の青春物語でもありえるし、恋物語でもありえる。
でもやっぱりそのどちらでもない。
じゃあ、そんなジャンル分けせずに、単純に読み応えがあったかとか、何か感銘することがあったかとかと問いかけてみると、確かに無かったわけではない。
なのに「この本、良かったよ~。お勧め!」と言う気になれない。

たとえば私と同じようにバルセロナに住んだことがある人なら、馴染みのある通りや広場なんかの名前がたくさん出てくるので、話の舞台が目に浮かんでくるという楽しみがある。
今のバルセロナを思えばかなりミクロな行動範囲だけれど、当時は、あるいは少年のダニエルにとってはそんな感じだったんだろうな・・・とも思わせる。
あと、フェルミンという大切なキャラクターの存在感やダニエルとの友情の形も、私的にはスペインらしくて面白い。
さらに母をなくしているダニエルと父親の関係、そこにビクトル・ユーゴーの万年筆を絡ませているあたり、この作家が目指さんとするものを象徴しているようで、ただの流行作家とも系統が違う気がする。

だったら何がイマイチなのか?何が気に入らなかったのか?と考えてみても答えが見つからないというか、上手く言葉にならない。
そういう意味では気になるので他の作品も読んでみたいと思わせる。
そしてスペイン語のオリジナルも。

そう、ひとつ分かっているのは、日本語で読んだのがぎこちなかったということ。
バルセロナの風景の描写、時代背景、それぞれキャラクターの違う人々の話し方。
一体オリジナルではなんと言っているんだろう?と思ったり、多分サフォンはこう書いているんじゃないだろうかと自分の頭の中ですり替えてみたり。
小説の中に入り込めば入り込むほど違和感が増してくる。
スペイン人の友人がドイツ語も読んだけれどニュアンスが変わってしまっていて興ざめだったと言っていた。
同じヨーロッパ言語間の翻訳でもそうなのだから、日本語へとなると更に難しいだろう。
もちろん原文のキャラクターにもよるんだろうけれど。

e0112086_17192513.jpg例えば私が日本語と日本語以外で読んだ数少ない本のうちPatrick Süskind:パトリック・ジュースキントの”Die Geschichte von Herrn Sommer”(邦題:”ゾマーさんのこと”ドイツ語原作)は、もちろんドイツ語で読むのが一番面白かったけれど、スペイン語と日本語でもさほど違和感なく楽しく読めた。

かわってMarguerite Duras:マルグリット・デュラスの愛人・ラマン (原題:”L'AMANT”フランス語原作)は日本語ではしっくりせず、スペイン語で読むと(オリジナルのフランス語は読めないので)感動的だった。
”Die Geschichte von Herrn Sommer”や”L'AMANT”の何倍も長い”La sombra del viento”、どれだけかかるか分からないけれどスペイン語で読んでみれば印象が変わるかもしれない。

余談だけれど、サフォンの事を調べていたら彼が通っていた学校がわかったんだけれど、ぺーさん子供の頃、そのすぐ側に住んでいたらしく、校庭でもよく遊んだとか。
歳もあまり変わらないし、もしかしたら彼とすれ違っていたかも?


ほんとにほんとに最後の夕食。
せっかくだしフルコースで。
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by sandonomeshi | 2008-06-12 17:30 | 外メシ ausser Haus


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